なみゆいの会 周流杖術

周流旧杖術の会です。杖を使った型稽古の練習会です.

周流杖術という武道の練習会です. 交流武術研究会 周流代表 村中喜峰の作った武道です。 およそ、1メートル30センチの棒を使った型稽古の武道ですので、自由に打ち合うことはありません。

纏糸掌

纏糸掌

纏糸掌とは、単純に表現するなら、自然体に立ち、右手、左手を交互に前へ出すというだけの動きです。 確かに、その動きの手順を説明するだけでしたら、とても単純なのですが、同時にとても難しい基本練習でもあります。

 
まずは動き始めについて。

単純に腕に力を入れて、手を前に出せば、それは術ではありません。ごく普通の動きで特に練習する必要はありません。

初手の段階では、とにかく、自分なりに先生の動きを真似るしかありません。そして、同時進行で見る目を養いつつ、先生の言葉を記憶して、矛盾がない動きを見出していかねばなりません。

少しわかり始めましたら、上半身の力、特に肩や腕の力をその姿勢が維持できるぎりぎりまで力を抜くことが大事になります。ただし、下半身の力もすべて抜く わけではありません。腰はしっかりとした状態です。もっとも、その段階や得ようとするものによって、腰を緩やかにして、膝を、もしくは足首より下を充実さ せることを意識して動くことも大事ですが、これは、自身の動きがもっとこなれてからのことです。

動き出しは腕に力をいれず、下半身を微かに移動させ、体軸を微かに前に移動させることで、肩が前方に滑り出すように動きます。斜めの板に丸いものを置けば転がっていくように、下半身の位置の変化が動き出しを促します。

上半身の姿勢を崩さないぎりぎりのところまで、力を抜くことで、無理なく滑り出すことができると思います。 ただ、本当に微妙な変化によって、動き出すもので、目に見えて下半身の位置が変化するようでは、それは適切ではありません。

上記のように動くことによって、起こりの無い腕の動きとなり、同時にそれは上半身一体の動きとなります。熟練が進めば、それが全身運動となります。

 
手を伸ばしきったところで動きを止めるとき

風船の変化をとどめること

突きの衝撃はどうすれは、相手の体にとどめられるか。それは突きによって発生した相手の体の反発力を如何に押さえ込むかに依ります。拳の質量に対にして、反発する力は相対的に大きく、弾かれてしまいますと、力が伝わりません。

突きの速さを増すにはどうすれば良いか。サッカーや野球やゴルフ、ボールが凄い速さで遠くまで飛んでいきます。何故、あんなに速いのか。様々な工夫がされ てのものでしょうけれど、注目すべきは、例えば野球でボールを投げる、このホールは投手の手から離れて飛んでいきます。これが大事でして、人の拳は拳だけ が体から離れて飛んでいきません。つまらないほど当たり前のことですが、そこに大事があります。

突きの速さを増すには拳を腕から切り離してしまうこと、そして、突きの衝撃を増すには、突きがまるで体当たりになるかのように拳と体全体を繋ぐことが大事です。

纏糸掌の手を伸ばし終えたとき、掌の指先先端が足の裏までしっかりと繋がり一体となって地面を噛んでいることが肝心です。

 
纏糸のこと

体のそれぞれの部分を一つに繋ぐ方法が纏糸掌の纏糸です。

重いものを押し出そうとする時、どれほど足腰が強靭でも腕の力が弱ければ、重いものを押し切ることができません。

纏糸とは体の捻りです。

肘関節で考えてみます、重いものを押し出そうとすると、肘が曲がってしまいます。この肘を曲がりにくくするには、押し出している力の方向を軸に、微かに捻 りを入れることで、曲がりにくくなります、つまり、力を伝達し易くなるのです。この微かな捻りを一瞬で体全体に施すことで、体の部分一つ一つが一体にな り、ほんの指先一つの小さな動きでさえ、全身運動と化すことができるのです。

纏糸掌では、このように、体の各部の繋がりを切ったり、繋いだりすることをも教えてくれる動きです。